Health, justice, and a good life

健康と病気や治療、医療について、クリニック運営についてのブログ。

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雑感

医療とケアと叙情的・叙事的

看護師であり研究職でもある友人が、鼻水鼻づまりで近くの医院にかかった時に 「医師を怒らせないで、こちらの要望をつたえるのは結構大変」 だったと言っていた。 何をいっているのか一瞬分からなかった。患者の要望を聞いた医師がなぜ怒るのか理解できなか…

自分の感覚と医療との距離

自分の近しい友人が建築家で、以前から勝手に建築を身近なものとして感じている。 自分の世代は「建築」というと、ややものものしく、磯崎新さんの東京都庁のような、丹下健三さん国立代々木競技場のような、機能だけでなく、思想や芸術を含み構成されている…

Stay hungry, stay foolishであるとは。

スティーブジョブスのStay hungry, stay foolish.に共感しつつも、日常の怠惰にながされてしまう自分に嫌悪していたけれど、よくよく考えてみれば、hungryでfoolishってば日常にはない自分のありようですよね。さてhungryでfoolishとして自分を惰性や常識か…

医療というのは、国際的なレベルで語らないかぎり意味がない。つまり、国際的に自分の診療がどういう位置にいるかを常に考えていない診療は自己満足になる

新聞記事で本庶佑先生のノーベル医学生理学賞受賞に関連する報道を読むと、本当にワクワクする。そして、私自身の文脈に変換されて意味をもつフレーズもある。 www.asahi.com このなかで、早石修先生の教えとして サイエンスというのは国際的なレベルで語ら…

研究者のいう「これが答えだ」が、気持ち悪いのは何故か

横断的観察でも、後方視的な情報にもとづくある程度の確実な”実証”であっても、もちろん手順を踏んだエビデンスであっても、医療政策や医療提供などの研究者が声高に、自分のもつデータからの解釈を講釈するのを聞くと、居心地悪くなることはありませんか。 …

養生法と死ぬのは苦しくない、ということ

最近外来での話題で、「長生きしたい」と聞くことはめっきり減った印象がある。 一方で増えているのは、「早く逝きたい」ということばだ。 「それは僕の仕事じゃないなあ」と言いながら、手持ちぶさたにカルテを打ち込むのが精一杯。先に逝ってしまった家族…

American Family Physicianが僕のFP的枠組みを作っている

外来で膝が痛いと言われれば、一通りの膝の診察をし(北海道でなら普通に自分でポジショニングしてレントゲン撮影もしてました。膝2R、荷重も、必要なら軸写も;しかもその当時はフィルムだった…)、眠れないといわれれば、うつ含め精神心理的な問診と内科…

医療の正しい情報がネットで手に入れられる時代が終わった。

気がつけば、医療の正しい情報がネットで手に入れられる時代はもうとっくに終わっていました。 ネットにあげられている情報が無知や悪意(や商売目的やデマ)によって書かれた健康や医療の情報なのか、医学的に正しい情報なのかをgoogleやYahoo!の検索サイト…

戦争を経験した方々を失ってしまう危機感

迂闊だった。急に焦り始めている。 いつのまにか、周囲にいらっしゃることが当たり前だった存在が、もうすっかり貴重な存在になっていることに、臨床からすこし離れているためようやく気づく。 どこかで読んだ文章のように、「もう既に『私は(戦争を)覚え…

ファミリークリニックと銘打った施設というハードウエアではなく、そこで働く医師や医療専門職の総合診療/家庭医療の訓練された機能や技術といったソフトウエアにこそ患者さんや社会にとっての価値がある

Appleの広告にあった”Think different”を思い出していた。 アップルCM「Think Different.」(声:スティーブ・ジョブズ)[日本語字幕] 世界をよりよい場所にしたいと信じる。まだできると信じる。 ジョブスつながりで、SonyとAppleやMicrosoftとの違いを語…

男は黙ってサッポロビール的こころ

三つ子の魂百までとはよくいったもので、どさんこの40歳代男子は 「男は黙ってサッポロビール」 と刷り込まれている。 男は黙ってサッポロビール CM (まだ昭和だった)中学3年から通い始めた塾の塾長の授業で、まことしやかに語られた就職面接での伝説。飲…

小さな物語を生きる

道ですれちがうあの人にも、物語がある。それがかぎ括弧付きの大きな物語であろうと、名も無き変哲も無い日常であろうとも、恵まれていようが、困難に満ちたものであろうとも。その物語を尊重しながら、そのほんの一部である病気や症状の話しを聞く。 じっと…

さて、いつ死ぬのか

ああ、今日も生きていた。 そうぼんやり考えながら目が覚める。時々、涙がでている。 日常的に死に関わる医療職の方なら、ときどきこういう朝がある。 生きている、しかも平気で生きていることは40歳を越えると結構難しい。 「悟りという事は如何なる場合に…

別れの季節

年度末は異動や引っ越しで別れの挨拶がおおく、海外移動組は4月に入ってもその時期がつづいている。クリニックでも、単身赴任されている方がご家族の元に戻るときなどは、大きく生活環境が変わることから、今後の対策などを話し込んでしまい、結構外来時間が…

コミュニティの年輪論

覚え書き。 この年輪論のようなものを在宅訪問診療でずっと考えていた。 在宅訪問診療では、医師の位置はかなり外で、患者さんと家族が中心にあり、訪問看護師と介護士、ケアマネほかがその外を包む。特に自分のように、「つながり」が苦手な家庭医は、力の…

家庭医療や総合診療の戦略

まとめず、つれづれに。 以前、非常に優秀な戦略コンサルタントの方に 「家庭医療っていうのは、戦略的に負けるコンテンツなのだ」という主旨のお話しを伺ったことがある。「総合的」や「包括的」の部分が広報やプロジェクト組成しにくかったり、経営的に利…

Steve Jobs: Stanford commencement address, June 2005

英語から日々遠くなっている。 30歳になってから英語で話し始めたので、小学生のようにあうあう言うだけだけれど、自分の考えを英語で表現して議論するとすっきりすることが多く、筋トレのようにできるだけ毎日使う習慣をつけたいと、新年の誓いを立てる。 …